【シニアの本棚】『現代生活独習ノート』:IT社会の日常、ちょこっとファンタジー
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【シニアの本棚】『現代生活独習ノート』:IT社会の日常、ちょこっとファンタジー

3.5
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『現代生活独習ノート』 津村記久子

40年来の友人守山さん(仮名)は読書家で、1日か2日に1冊ぐらい読んでるのではないだろうか。
図書館本は待てないからと、だいたい本屋さんで購入しているそうだ。

ランチの約束をすると、必ず3、4冊ピックアップして「どれか読みたいのありますか?」と聞いてくれる。
わたしとしては全部読みたいけど、持って帰るのが重いので、その中の2冊ぐらいを貸してもらうというわけだ。

今回は津村記久子さんと聞いただけで、リクエストした作品。

物語について

8篇から成る短編集。

  1. レコーダー定置網漁
    リフレッシュする気力さえ残っていない主人公がリフレッシュ休暇をもらってテレビの録画を観て過ごすという話。むしろテレビ番組の内容の描写の方が多いかも。
  2. 台所の停戦
    自身の母親に対する不満を抱えて育った母とその娘の3世代の話。
  3. 現代生活手帖
    予想される(?)未来の生活を描いたファンタジー。
  4. 老名主
    ストーカーやいじめで心を痛めた人たちが通うカウンセリングにまつわる話。
  5. 粗食インスタグラム
    おやつを食べ過ぎないようにするため、間食の写真をSNSに上げているという課長に影響されて、貧弱な晩ごはんをアップすることにした主人公。
  6. フェリシティの面接
    機械のように完璧で合理主義の派遣社員らしきフェリシティとの面談の様子。
  7. メダカと猫と密室
    取引先の都合で休日出勤を余儀なくされた主人公の半日。
  8. イン・ザ・シティ
    オタクの女子高生キヨと、運動部に所属しているアサとの交流。

特に印象に残ったエピソード

2「台所の停戦」は「私」と小学校高学年か中学生ぐらいの娘と「私」の母親の関係が描かれている。

親子関係がテーマだと、ちょっと惹きつけられてしまう。
こういうお母さんいるよね、「娘」が可哀想だなーと思いながら読んでいたのだけど、このお母さん自身もそういう母親に育てられていたようで…。

母親は、どれだけ私が物事を正しく進めても満足せず、絶対に何か些細な瑕疵を見つけ出してそれをあげつらう。それは、母親が完璧主義者だからというわけではなくて、母親が単に母親として振る舞っているからだ。子供の中に不完全な部分を見つけ出し、それを補完するのが母親の生涯の仕事だから。

p.45

最後は「私」に気づきがあり、彼女の心も緩んだようで、少しほっこりした。

意外と面白かったのが 3「現代生活手帖」だ。

ここに出てくる「捨て物ロボット」は利用者の外出中に家に入って、不必要なものをそっと持ち帰って処分してくれるロボットだ。

利用者にとって必要でないものと必要なもの、必要になりそうなものを的確に判断するらしい。
1年1万円の契約らしいけど、利用してみたいわ。

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読み終えて

どのエピソードも大きな事件は起きないし、どっちかというと退屈な毎日が描かれていて、主人公はなんだか心にしんどさを抱えている人が多い。

IT社会、これがタイトルの「現代生活」ということだと思うけど、それぞれのエピソードの始まりは、高齢者のタカハラとしてはなんとなくとっつきにくかった。

ガッツリ入り込める系ではないけど、主人公たちがちょっとだけ前に進んでいくような展開で、ほっとした気分で読み終われる、そんな物語だった。

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