理瀬シリーズは、勝手に前作『黄昏の百合の骨』で終わったと思ってたので、「まだ続いてたんだ〜」と嬉しかったです。
もちろん『黄昏の百合の骨』の内容は全く覚えてませんが。
『薔薇のなかの蛇』 恩田 陸
物語の展開
頭と手首がなく、胴体を真っ二つに切り離された死体が巨石の上に置かれているというショッキングな場面から始まる。
場面は変わり、ブラックローズハウスと呼ばれる館に集められたレミントン家一族。
そこでは当主のオズワルドが『聖杯』を披露するのではないかと思われていたのだが、屋敷の敷地内でまたもや石の上に載っている切断された胴体が発見される。
一方、オズワルドは「聖なる魚」という人物から脅迫されており、恐怖に怯えていた。
その後、次々と事件が起こる。
オズワルドの弟ロバートが毒入りウイスキーを飲み、命を落としそうになったり、爆発で吹き飛ばされた人間と犬の肉片が降ってきたり…。
そうこうしているうちにオズワルドが行方不明になる。
彼はどこへ消えたのか。
オズワルドを脅迫していた人物は?
猟奇的殺人を犯したのは誰か。
2度目の殺人は同一犯か模倣犯か。
物語は、たくさんの謎を抱えながら進行する。
読み終えて
冒頭から霧の中の、陰鬱なもやーっとした感じ。
「恩田さんだ、恩田ワールドだ」と思いながら読み進みますが、いやいや、衝撃的な場面が表れました。
実は、恩田さんの作品なので没頭して読めると思ってたんです。
それが、おもしろくないわけじゃないけど、なぜかあまりサクサクと進まなかったんです。
胴体を真っ二つに切断された死体が2つも出てきて、しかも爆発で吹き飛んだ肉片が降ってきたりすると、さすがにちょっと引いてしまいました。
恩田さんの作品を読んでる時にいつも感じる不安。
それはきちんと着地点に着地するのかということです。
文章に引き込まれてグーっと入っていくのだけど、頭の片隅に「ちゃんと終わるのか?」という思いが常にあります。
どこかでどなたかが、「恩田作品に対する恐怖感、それは結末の読者突き放し」と言われてましたが、まさにそのとおりなんですね。
一時期ちょっとモヤモヤしたこともありましたが、わたしは恩田さんファンで、彼女の文章が醸し出す不穏な空気感が好きなので、今は突き放されるのは覚悟の上で読んでます。
ある種の中毒のようなものでしょうか。
たぶん、上記の方もファンだと思います。
「読者突き放し」を含めて恩田さんの作品が好きな方ではないかと…。
今作はわりと着地点がはっきりしていたような気がします。
が、読んでる途中でもあまりにも記憶の喪失が激しくて頭の中だけでは整理できず、メモに書き出してまとめてみてやっと理解できたというような感じです。
よほど頭が衰えてるのかもしれません。
集中力の問題か…?
そして、文字にして頭を整理してからもう1度ザッと読み返したという次第です。
なにしろ最後の場面を読む頃には、第1章で何が書かれていたのかほぼ覚えていないので…。
先日『夜明けの花園』を読みましたが、やはりこちらを先に読んでおけばよかったかなと思いました。
この時も集中力がどうとか言ってますね、わたし。
かなり深刻な問題かも…。
理瀬シリーズはまだ続きそうです。
北見隆さんの装幀、挿画も雰囲気があって素敵です。
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今日も最後までお付き合いくださってありがとうございます ^_^
どうぞ、ステキな1日を!