『星を掬う』町田 そのこ
物語の展開
賞金欲しさにラジオの「あなたの思い出買い取ります」という企画に応募した千鶴。
その思い出とは、小学校1年生の夏休み、母と車で1ヶ月ほどのあてのない旅をした。
その旅が終わり、千鶴は家に帰ったが母はその日を境にいなくなってしまって22年間音信不通だというものだ。
千鶴の「思い出」は準優勝となり、ラジオで披露された。
後日、その放送を聞いた芹沢恵真という女性が「自分が今同居している人が千鶴の母親ではないか」と申し出てきて一緒に暮らさないかと持ちかける。
千鶴はずっと母の聖子を恨んでいたが、現在DV夫につきまとわれていて、彼から逃げるためにも恵真と母親が暮らす家に行くことになった。
しかし、そこにいた母は若年性認知症を患っており千鶴を拒絶する。
通じ合えない母娘。
そこへ母の世話をしている彩子の娘美保が転がり込んでくる。
娘は17歳で妊娠、高校中退して行く場所がなく母親を頼ってやってきたのだが、彼女も彩子に捨てられたと思っていて母親を恨んでいる。
恵真は幼い頃両親を亡くし聖子を母と慕っているが、彼女自身もトラウマを抱えている。
2組の母娘と恵真の複雑な同居生活が描かれる。
読み終えて
いやー、重いです。
しんどかったです。
千鶴の境遇も目を覆いたくなるほど悲惨だし、DV夫もしつこくて壮絶です。
みんな「こんな人がいるのか…」と思うような極端な人たちで…。
途中から入り込んできた美保にはヒヤヒヤしてました。
インスタが危ないのではないか、そこから何かが起きるのではないかと、おばちゃん先が気になって気になって…。
と、そういうところではなく母娘の関係に目を向けるべきなのかもしれないけど…。
物語は千鶴の視点から描かれているのだけど、時々母の聖子の独白のようなものが挟まれていて、その部分が興味深かったです。
彼女も幼い時から息の詰まるような生活を強いられていました。
ひとりの人間として解き放たれたかったのかなと。
それでもやっぱり子どもは大切だし忘れられない存在ですよねぃ。
最後はみんなそれぞれ自分を取り戻して、一緒に暮らしながらも自分の人生を生きていくという感じで、希望が見えてよかったです。
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今日も最後までお付き合いくださってありがとうございます ^_^
どうかステキな1日を!