【読書】『イン・ザ・メガチャーチ』|没入する人々の危うさ

【読書】『イン・ザ・メガチャーチ』|没入する人々の危うさ

4.5

昨日はこの地方も一日中止むことなく雨が降っていた。
特に夜からは雨足がすごく強くなって、築30年の我が家では2階の台所の出入り口から雨水が染み込んでくるという事態に。

タオルを養生テープで止めて応急処置をしたけど、気になってさすがにあまり眠れなかったわ。
家の修繕、いよいよ本気で考えなくては…。

『イン・ザ・メガチャーチ』 朝井 リョウ

2026年本屋大賞受賞作品。
随分お久しぶりの朝井リョウさんだ。

内容紹介

あるアイドルグループの運営に参画することになった、家族と離れて暮らす男。内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生。仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側――世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪を炙り出す。

久保田慶彦:妻と離婚し、大学生の娘とは月に1回会うことになっているが会話は弾まない。
仕事にももはや自分の存在意義を見出せないでいるのだが、あるアイドルグループのデビュー企画に関わることになり、見える世界が変わり始める。

武藤澄香:慶彦の娘。留学するために勉強しているが、大学の意識高い系の友人と付き合うことに疲れている部分もある。
ちょっとしたきっかけで推し活にのめり込み、父親から勉強のためと偽ってもらったお金を全部注ぎ込みファンダムの中心的な存在になる。

隅川絢子:推し活にのめり込んでいたが、その俳優が自殺したことで考えが変わり、信じる世界が一変する。

3人がそれぞれ何を信じるか、何を見るかで考えが変わり視野が狭まっていく様子がリアルに描かれている。

読み終えて

まず、出てくる用語(?)がさっぱりわからないところからのスタートだ。

コンプは「コンプリート」かな。
オプチャ? もしかしてオープンチャットのこと?
インライって? なんとなく前後の文脈からインスタライブか?
「アクスタって何?」と同居次男に聞くと「アクリルスタンド」と教えてくれた。

そんな感じで読み進んだのだけど、極めつけはINFPだ。
なんじゃ、ソレ。

調べてみると16Personalities という性格診断で表される性格タイプの1つだそうだ。

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思わず読書そっちのけでこの診断テストをやってしまったよ。
ちなみにわたしはINTJだった。

前置きが長くなってしまったけど、読んでる間中ずっと自分の中では「危うい」という感覚があった。

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読む前には推し活の話というようなことを聞いていたので軽い話かと思っていた。

それが単なる推し活の話ではなく、その背後にあるメガチャーチマーケティングというものの巧みさというか怖さというか、そういうものを見せつけられる。

作られた物語に没入する人々がお金も時間も脳も溶かされていくようなイメージ。
「没入」は手っ取り早く我を忘れるために有効な手段で、没入の先には仲間との優しくて健やかな繋がりがあるという。

推しに没入する人々、陰謀論に没入する人々。
「視野を広げましょう」と叫ぶ人たちの視野こそが狭まっていないか。

終わり方についてはいろんな意見を見たけど、わたしは秀逸だったと思う。
余韻を残した結末で、親としては慶彦のその後が非常に気になる。

彼は「本物の気持ちで選んだ間違いの上で、脳みそを溶かして動く自分のことが誇らしかった」と思うに至るのだが、自分の娘がやっていることを知った時、同じことを言えるのだろうか。

自分が思っていたのとは全く違う姿の娘を発見した時に、受け入れられるのだろうか。
とても興味深い。

そんなことを思いながら読み終えた。
ズシンとくる作品だった。

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