
『今日未明』 辻堂 ゆめ
概要
新聞の片隅に載っている小さな記事。
その事件の背後にある真相を浮き彫りにした5つの物語。
- 夕焼け空と三輪車
■自宅で血を流した男性死亡
別居の息子を逮捕
引きこもりの正之は40歳だが引きこもりのニート生活を続けている。
折り合いの悪い母親が認知症を発症したので、母と介護要員の父親はサ高住に入所することになり、正之は一人暮らしをすることになった。
父親は足繁く正之のマンションに通って食事の用意をしてくれたりジョギングのコースを決めてくれる。
正之のことを受け入れてくれ、正之にとって唯一全面的に信頼できる存在だったのだが…。 - そびえる塔と街明かり
■マンション女児転落死
母親の交際相手を緊急逮捕
新築の高層マンションに住む慎一。
あるきっかけでシングルで5歳の娘をもつ静香と知り合い、母娘と同居することになる。
娘の美彩は慎一を「パパ」と呼び懐いている。
慎一も父親になったような気分で幸せを噛み締めていたのだが、ある日美彩の腕に青あざを発見して…。 - ジャングルジムとチューリップ
■乳児遺体を公園の花壇に遺棄
23歳の母親を逮捕
お互いに高収入で価値観も似ている彩絵と拓也は事実婚を選んだ。
彩絵の「早めに子どもを産んで、なるべく若い時期に社会復帰する」という考えどおり、彼女は妊娠し順風満帆の生活だったはずだ。
胎児認知の手続きのため、彩絵は勝手に拓也のマイナンバーカードを持ち出し戸籍謄本を取得しに行くのだが、思いもかけない事実が判明する。

- まだ見ぬ海と青い山
■男子中学生がはねられ死亡
運転の75歳女性を逮捕
夫を亡くしひとり暮らしをしている和子。
息子とも疎遠になり、ボランティアで毎日登下校の交通見守りをするのが生き甲斐になっていた。
ある日、中学1年の宝が虐められているのを見て、和子はすっかり宝に肩入れし、学校や母親の子育てにまで口出しするほどになっていく。
宝のためなら何でもしてあげると…。 - 四角い窓と室外機
■高齢夫婦が熱中症で死亡か
エアコンつけず
夫を早くに亡くして以来17年間、幸恵は認知症が進んだ義母と、脳梗塞で車椅子生活になった義父の面倒を見て暮らしている。
嫌な顔ひとつせず、甲斐甲斐しく義両親の世話をする幸恵だが…。
読み終えて
各記事の見出しと概要だけ見ると、毎日どこかで目にするような、それだけに「あぁ、またか」とやり過ごしてしまうような事件だ。
それぞれのエピソードの最初に記事が掲載されていて、倒叙ミステリー的な展開になっているので興味深く読める。
どの話も一見とても幸せそうに見える。
それがなぜ、何が起こってこうなった?と思いながら読み進んでいく。
容疑者となった人たちは悪人ではない。
ちゃんと真面目に生きていこうと思っている人ばかりだ。
なので怖い。
周りの人が怖い。そら恐ろしい。
久しぶりに読了後放心状態に陥ってしまった。
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