『マンダラチャート』 垣谷 美雨
物語の展開
子どもたちが独立して、定年退職を間近に控えた夫と2人暮らしの雅美。
夫との会話は噛み合わなくなり、不満でいっぱいの彼女は、ある日大谷選手が書いたというマンダラチャートに自分の目標を書き込んでいた。
その途中、その中心がぐるぐる回り出して吸い込まれてしまう。
ふと気がつくと、そこは1973年の中学校。
雅美は中学2年生になってしまったのだ。
PCもスマホもない時代。
そこへ雅美が実際に中学時代に憧れていたイケメンの天ヶ瀬が現れるのだが、どうやら彼も令和の時代からタイムスリップしてきたようだ。
男尊女卑、パワハラ、セクハラが蔓延る時代を2人は同志としてお互いの思いを吐き出しながら過ごしていく。
1回目の人生で経験したことをもとに、違う人生を歩もうとする。
高校入試、大学進学。
4年生大学卒の女子の前に立ちはだかる就職難。
雅美と天ヶ瀬の人生はどうなるのか。
2人は令和に戻れるのだろうか。
読み終えて
いつかのテレビドラマ「ブラッシュアップライフ」や「不適切にもホドがある」を彷彿とさせる物語だった。
1973年に中学2年ということは、雅美は昭和34年生まれぐらいだろう。
わたしは30年生まれだけど、彼女の疑問や不満、怒りはとてもよくわかる。
あの頃の自分と重ねて読んだよ。
たしかに女性はクリスマスケーキと言われていたし、同級生たちもみんな「結婚する」と思っていたようだ。
幸い(?)うちの親は「女でも自立して1人で生活できるように」という方針だったので、進路に反対されたことも結婚を急かされたこともなかった。
それでも結婚というのはしなくちゃいけないものなのかなーという気持ちはどこかにあったよねぃ。

もしわたしが今の気持ちのまま中学2年に戻ったとしたら…なんて、自分も妄想に浸りながら楽しく読めたわ。
就活での雅美の歯がゆい思いもわかる。
わたし自身は一般企業の厳しい面接を受けたことはないんだけど、あの時代、4大卒の女子というのはそういう扱いだったんだろうなーと。
実際、4大卒より高卒女子の方が求められていたのは知っている。
ほとんどの大卒女性が2年で結婚退職というのがお決まりのルートだったよねぃ。
雅美に激しく共感し、一緒に腹立たしく思った。
雅美と天ヶ瀬はどうなるのか、令和に戻れるのか。
最後は「あー、そうなるのか。そうなるよね、やっぱり。もう一捻りほしかったけどなー。ま、幾つになってもワクワクできるって、いいね」という思いで終わったわ。
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今日も最後までお付き合いくださってありがとうございます ^_^
どうかステキな1日を!