初めて恩田さんの作品を読んだのは『夜のピクニック』でした。
とても情景描写が美しく、こんな綺麗な文章書く人がいるんだと感動したものです。
その後『木曜組曲』、『六番目の小夜子』など、『夜ピク』とは違う、背後に何かあるような不穏な雰囲気に惹かれて次々読み漁りました。
この作品は『三月は深く紅の淵を』、『麦の海に沈む果実』などの理瀬シリーズのスピンオフとなる短編集です。
物語の展開
湿原に浮かぶ檻、と密やかに呼ばれていた全寮制の学園。
ここでは特殊な事情を抱える生徒が、しばしば行方を晦ます。
ヨハンの隠れた素顔、校長の悲しき回想、幼き日の理瀬、黎二と麗子の秘密、
月夜に馳せる聖、そして水野理瀬の現在。
理瀬と理瀬を取り巻く人物たちによる、幻想的な世界へ誘う六編。
(Amazon より)
- 水晶の夜、翡翠の朝
学園の平穏を乱す人間は消えてもらった方がありがたい。 - 麦の海に浮かぶ檻
この学園は「ゆりかご」と「養成所」と「墓場」に分かれてプログラムが組まれている。 - 睡蓮
睡蓮の下には綺麗な女の子が埋まってるんだよ。 - 丘をゆく船
この丘が青い船で、湿原を切り裂いて、航海をしているところだったら。 - 月蝕
あれが、自分にとっては大事な時間で、彼らがどんな人間であるにせよ、自分にとっては重要な人々で、今も身体の片隅で、生き続けているのだ。そう、稀有な天体ショーのように。 - 絵のない絵本
お前にはどうすることもできないことで思い悩むな。
過去のシリーズに登場した人々の物語で、過去作を彷彿とさせるタイトルがつけられています。
読み終えて
スピンオフと言われても、元の作品を読んだのは20年ぐらい前です。
つい最近読んだ作品も覚えてないのに、そんな前に読んだ内容を覚えてるわけもなく…。
登場人物の名前は理瀬はもちろん覚えてるけど、そういえばヨハンとか優里とかいたよなーって感じで。
『麦の海〜』を読んだ時もそこはかとない不気味さを感じましたが、今回「やっぱりね」とか「そういうことだったのか」という気持ちは、忘れてるなりに漠然と浮かんできました。
シリーズを全然知らない人が読むと、それはそれで楽しめたのかもしれませんが、読んでるだけにはっきり思い出せないのがもどかしいような、歯痒いような気持ちで読みました。
こうなったら全部読み返そうかと思ったりもしますが、そんな根性はありません。
最近、恩田さんの作品は今のわたしにとって、ちょっと複雑すぎるなーと思うようになりました。
ずっと恩田さんを追いかけて、没頭してた時期もあるのだけど…。
だいたい忘れてるけど…。
頭が追いつかないというか。
集中力が衰えてきてるんでしょうか。
と言いながら、やっぱりこれからも読むとは思いますが。
内容云々より、彼女の文章が好きだし、作品の雰囲気に浸りたいんです。
理瀬シリーズについては こちら で解説されています。
シリーズの中で『薔薇のなかの蛇』は未読なので、次読むつもりです。
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今日も最後までお付き合いくださってありがとうございます ^_^
どうかステキな1日を!