【読書】『砂嵐に星屑』一穂ミチ:新たな1歩を踏み出す人々

一穂ミチさん、先日「スモールワールズ」を読んで、またこの人の作品を読んでみたいと思ったので、図書館に予約していたのだ。

テレビ局を舞台にした連作短編集で、それぞれ悩みを抱えている人々の物語。

4つのエピソード

1. 資料室の幽霊

主人公は40代独身で旬を過ぎた女性アナウンサー。
社内不倫が発覚して支局へ出向になった後本社に戻ってくる。
社内では病死した彼女の不倫相手の幽霊が出るという噂が…。

2. 泥舟のモラトリアム

50代の報道デスク中島は同期が早期退職することに焦りを覚えている。
娘とは冷戦状態で自分の存在価値を見出せないでいる。

3. 嵐のランデブー

好きになった人がゲイで恋愛関係に発展する望みはないのに同居しており、自分の気持ちを持て余している20代の結花。

4. 眠れぬ夜のあなた

非正規社員という現状に不満を持ちながらも、自主的に何かをやろうとする積極性も向上心もなく漫然と働いている30代AD。

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印象に残ったエピソード

泥舟のモラトリアム

出勤前に地震に見舞われ、西宮から会社のある大阪の福島駅まで17キロを歩くことにした中島。
早期退職した何人かの同期のこと、彼らと比較して自分の「つまらなさ」を考えながら、汗びっしょりになってひたすら歩く。
そこまで自虐的にならんでも…と思うくらいだ。
そして、娘との確執についても反芻し、今まで固執していた考えとは別の気持ちが降りてくる。
「なんであんなにムキになったんだろ」と思う瞬間てあるよね。
そこに気づくと、なんだか心がスッキリして軽くなった感じがする…、わかる。

眠れぬ夜のあなた

派遣社員の堤はとある企画コーナーのビデオ制作を任されたのだが、交渉ごとや人と関わるのが苦手な彼にとってはとてもハードルの高い仕事で、行き詰まることばかりだった。
ところが、取材対象の芸人並木広道本人や先輩に助けられながらやっていくうちに、並木の心の奥深くにある思いを聞き出すことができた。
このエピソードの主人公は堤だけど、並木の思いが印象に残った。
彼は阪神淡路大震災で弟を亡くしていたのだ。

『心のケア』なんかしていらん。治りたくない、忘れたくないんです。せやからこのまま、ひとりでもええんです

p.282

悲しいことや失ったものは忘れた方がいいと言い、そのためにカウンセリングを受けたりもするのだろうけど、こういう生き方もあるんだなーと思う。

傷は傷のまま、悲しみは悲しみのまま、時は流れ、「あの日」はめぐり、不在の思い出が胸の中だけに降り積もる。

p.282

読み終えて

どのエピソードも心に傷や生きにくさを抱えている人の話だけど、結局人は自分の傷ついた部分や弱い部分と向き合って、それを認めたときに新たな1歩が見えてくるんじゃないかなと思う。
全員が、次に向かって踏み出そうとしていてよかった。

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