『犯罪者』 太田愛
太田愛さん、「相棒」とか「トリック」の脚本家さんだそうで、知らなかった…。
すいません。
昔、わたしは「読み始めて30ページぐらいまでに殺人が起きるか、白骨死体が発見されるかしないと退屈になるわ」と言っていた時代がある。
人間性を疑われそうだけど…。
今はもう全然そんなことはなくて、何にも起こらない物語も好きだけど。
むしろほっこりして「いいなー」と浸ったりするお年頃だ。
でも、久々に出会ったよ。
いきなり通り魔が5人を狙って次々に刺すという場面。
犯人は薬物中毒の青年と断定され、すぐに死体となって発見されるのだが、被害者の1人がかろうじて生き残り、そこから物語が始まる。
深大寺駅南口でそれぞれ誰かと待ち合わせをしていた5人。
本当に発見された青年が犯人だったのか、本当に通り魔の無差別殺人だったのか・・・。
もうね、そこからノンストップ。
登場人物も多いんだけど、彼らの背景がとても丁寧に掘り下げられてるし、情景描写も細かく、テーマも産廃問題や食品の安全性と政治、それらが絡み合ってスケールが大きい。
場面がクルクル変わるから、ついていくのに一生懸命だったけど。
上巻の終わり頃は息するのも忘れるくらいだったし、いよいよ計画を決行するときにはドキドキしたよ。
途中、みんなの心情や決意にウルウルするところもあったり、正直、やりきれないと思う場面もあったのだけど。
早く先が読みたいと思いつつも、読み終えるのがもったいないというか、名残惜しいというか、ここ暫く忘れていた感覚だ。
結末は、タカハラとしてはちょっとモヤっとしてる。
食品会社の不正は証明されたけど、無差別殺人ではなかったことも明らかにしてほしかったわー。
最後のページ
俺たちは、すべてをひっくり返すことはできなかった。
下巻 p.436
ここに無念が残るのよねぃ。
あとね、ちょっと長かった。
長いのは好きだけど、山場が終わって一息ついて、これで一件落着かと思えばさらに続くというのが、ちょっと…。
まだ? と思ってしまった。
ドラマか映画にならないのかなー。
食品会社の不正を扱ってるから、スポンサー的に無理なのかなー。
この方の「幻夏」と「天上の葦」にも今回の主人公3人が登場するらしいので、是非とも読まなければ。
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