
出版当初から評判になっていたことは知ってたけど、表紙の印象と女子高生の話か…というので手を出さずにいた。
それがふとしたきっかけで読んでみると、すっかりあかりちゃん推しになってしまったのだ。
『成瀬は天下を取りにいく』
読み始めた途端、成瀬あかりちゃんに気持ちを持っていかれた。
すごく独創的で魅力的。
今までなんとなく遠巻きに見てるって感じだったけど、こんなにおもしろい作品だったのか。
というのが直感的な印象だ。
人のことなど気にせず猪突猛進でグイグイ行くタイプかと思いきや、ちゃんと冷静に計画的に先を見据えている。
例えば、受験勉強の時に1時間ごとに筋トレをしたり目の体操をしたり。
200歳まで生きるという目標のため健康管理にも気をつけて、必要なことを実践している。
たくさん種をまいて、ひとつでも花が咲けばいい。花が咲かなかったとしても、挑戦した経験はすべて肥やしになる。(p.187)
高校生にしてこういう考えを持てる子はそんなにいないのではないだろうか。
わたし自身も同じ考えだけど、それは大学生になってから、しかも良い大人(当時の学長)に巡り会えたからだと思っている。
親御さんはどのようにあかりちゃんを育てたのだろうか。
親としてはとても興味深かった。
また、一緒にいる島崎さんがいい。
常に成瀬に寄り添っている。
それでいて成瀬の言いなりになるわけでもなく、振り回されるわけでもなく、自分の意思で動いている。
2人の関係も微笑ましい。
『成瀬は信じた道をいく』
大学受験を経て学生生活を送る成瀬と彼女に関わる人々が描かれている。
人に影響を与えようとか意地悪しようとか、そういう思いは全くなく、ただただブレずに信じた道をいく成瀬。
かといって頑ななわけではなく、自分とは違う意見や思いを持つ人がいることを理解していて、それを素直に受け入れることができる。
彼女と関わった人たちは、そんな成瀬の言動によって何かに気づかされ、自分の生き方や考え方がはっきり見えてくるようだ。
今作では成瀬の両親も結構登場していて、お父さんはわりとジタバタするけど、お母さんが泰然自若としてあまり動じないタイプらしい。
親としてはどんな育て方をしたらこんなお子さんが出来上がるのか興味津々。
彼女が幼稚園、小学校の頃は枠にはまらない子どもだったんだろうなー。
枠にはまらない子を持つ親としては、ご苦労もあったのではないかと考えてしまう。
『成瀬は都を駆け抜ける』
京都で大学生活を送る成瀬。
相変わらず、意図せず周りの人をやる気にさせたり自信を持たせたりしながら自分の道を進んでいる。
個人的にはお母さんの話が興味深かった。
学校生活ではいろいろやりにくいこともあっただろうなと想像していたので「やはり…」という印象だ。
美貴子さんの「そういう子なので」という言葉は深い。
あかりちゃんの全てを受け入れているということだ。
「これで成瀬とお別れか」と思うと、一気読みするのがもったいなくて、1章ずつ読んだよ。
名残惜しい。
もっとずっと成瀬と成瀬が出会う人々を見ていたいという気持ちで読み終えた。
彼女が社会人になったとき、どのように大人の世界を乗り越えていくのだろうか。
できればそんな姿も描いてほしいものだ。




