
先日椹野道流さんの『ありふれた家を建てる』を読んで、ずーっと忘れていたことを思い出してしまった。

実家を二世帯住宅に建て替えると決めたのはちょうど30年前の今頃だった。
決まるまでには紆余曲折あったのだけど、それは置いといて。
ハウスメーカーの営業さんや建築士さんとの話し合いでは、彼らの目が点になるようなことも言ったようだ。
設計図にはキッチンに食器棚を置くスペースや扉付きのパントリーもあった。
その頃としてはごく一般的な台所のイメージだ。

食器棚は置かないので、ここはカウンターにして横長の窓をつけて、その上下に戸棚をつけてほしいんです
食器はその中にしまいたいので

え?
それだとどこに何が入ってるか見えませんよ

見えないようにしたいんです
どこに何を入れてるかは覚えておくから大丈夫です
建築士さんがちょっと鼻白らんだような気がした。

あと、パントリーも要らないので棚だけつけてください
一番下の段は、その下にゴミ箱を置けるように60cmぐらいの高さにして
その上に引き出し、
その上にスライド式の棚(炊飯器とか置きたい)
その上が電子レンジを置く棚
あとは可動式の棚を何段か
たしか、これは自分で図を描いて見せたような気がする。

そういう規格品はないので、別注で造り付けということになりますけど
若干めんどくさそうだったな。
注文住宅というのは施主の注文どおりにしくれるのかと思ってたけど、そういうわけではなかったようで、メーカー規格の型みたいなのがあったのね。
どうやらわたしは規格外の注文を繰り出していたようだ。
知らんがな。
ただただ、それまでに膨らんでいた自分の思いを形にしたかっただけだ。
2階にもオープンな洗面コーナーをつけてもらったのだけど、設計図では洗面ボール2つの広いスペースになっていた。

洗面ボールは1つでいいので、その分トイレを広くしてカウンターつけてください
マンションのトイレを掃除するときに、体や洋服が壁や便器につきそうなのが嫌だったのよ。
この広いトイレは正解だったと思う。
お客さんは大体びっくりするけど。
あと、どうしても受け入れてもらえなかったのが、シンク上の吊り戸棚。
あの頃は対面式キッチンでシンクの上に吊り戸棚があり、リビングとの境がコの字型に開いてるような造りが多かった。
それをコの字の上の部分を無くしてほしかったんだけど。

シンクの上の吊り戸棚は無くしてほしいんですけど
リビングとキッチンの天井に段差がなくスカッと続いてる感じにしたいんです
と、勢い込んで言ってみたけど、それは絶対やめた方がいいと。
料理してると、油なんかですごく天井が汚れるからと言われて、「そうなのか〜」とおとなしく引き下がった。
各部屋の壁紙を決めるのは早かった。
なにしろわたしの好みが偏ってるもので、見本帳を見渡して直感的に「コレ」「コレ」「コレ」と。
コーディネーターの女性が「今日は早かったですぅ」と驚いていた。
家を建てる時には、それぞれ思い入れがあっていろいろ理想が膨らむものだよね。
今は修理が必要なところが次々出てきて、困ったわ、どうしようと思うことばかりだけど。
家を建てた時の気持ちとか、ハウスメーカーさんとのやりとりとかが蘇ってきてノスタルジーに浸っちゃったわ。

