前回予約本が3冊届いていて、最近なかなか読み進まないことが多いので2週間で全部読めるかなと思ってたけど、ちゃんと全部読み終えて返却できたわ。
3冊ともいい出会いだった。
『坂の中のまち』 中島 京子
物語の展開
東京の大学に進学した坂中真智は、祖母の親友である志桜里の家に下宿することになる。
彼女が住んでいるのは、いたる所に坂のある町小日向だ。
そこは江戸川乱歩、夏目漱石、遠藤周作など名だたる文豪が住んでいた土地で、志桜里はあらゆる坂に精通しており、真智は彼らの著作と坂について聞かされる日々を過ごす。
ある日、文学サークルの集まりに出席するため出かけた真智だが、約束の会場には誰もおらず途方に暮れていた。
そこへ1人の男子学生がやってきて真智の隣に座る。
「隣に座るって、運命よ」という志桜里の言葉。
さて、2人の運命は…。

読み終えて
おもしろかった。
真智が出会った男子学生はエイフクさんというのだけど、彼の言動を見ていると(実際には読んでいるのだが)、この物語は昭和の話?と、たびたび錯覚に陥った。
カフェラテやカプチーノなど、昭和の大学生にはあまり馴染みのなかった飲み物が出てくるので、やっぱり現代よね。
しかも数年前のあの流行病のことも描かれているので、今のことなんだと再確認する。
エイフクさんから真智に宛てた暗号の手紙。
解読すると「月がきれいですね」
有名な夏目漱石の翻訳だね。
いやー、おばちゃんはニマニマしてしまったよ。
こういうところが本好きにはたまらない。
中島京子さんの作品は、特に大きな事件は起こらないけどちょっとした毒が隠れているというような印象を持っている。
今作も、真智のお母さんの出生の秘密は衝撃だったよ。
さらっと書いてあるし、みんなさらっと受け止めてるけど、ピリッとしたスパイスだね。
物語は学生生活2年目を迎えるところで終わったけど、突如現れた亀掛川君とはどうなるのか。
漱石の『こころ』に引っ掛けているのもとても興味深く、彼らのその後が見てみたい。
【2025年2月末 タカハラの本棚】

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今日も最後までお付き合いくださってありがとうございます ^_^
どうかステキな1日を!