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『うつくしが丘の不幸の家』 町田 そのこ
町田そのこさん、お初です。
物語の展開
海を見下ろす小高い丘に広がる住宅地に建つ築25年の3階建ての家。
その家で暮らした5つの家族の物語が、時間を遡っていく形で描かれている。
- おわりの家
築25年の一軒家をリフォームして美容院を開業した美保里だが、通りがかりの女性に「ここが不幸の家ってよばれているのを知っていて買われたの?」と言われ、すっかり気分が沈んでしまう。
わたしのしあわせは、いつだって誰かにミソをつけられる。 - ままごとの家
パート勤めの主婦多賀子。
高校生の息子は反抗期。娘は自分の夢を叶えるため、高校を卒業すると家を出ていった。
おまけに偶然会った知り合いに夫が浮気していることを知らされる。 - さなぎの家
男に騙され、職も貯金も全部失った叶枝と、夫に離婚を言い渡され娘と2人で放り出された紫。
2人は高校時代の友人で、先輩の蝶子が1年間留守にするという家を借りて一緒に暮らすことになった。 - 夢喰いの家
結婚と同時に築6年の家を買った忠清と蝶子。
新しい家族を作り、幸せな家庭を夢見ていたが、男性不妊が原因で子供ができなかった。
不妊治療を続けたがかなわず、忠清が離婚届を差し出した。 - しあわせの家
真尋はトラック運転手でバツ1の健斗の家で、彼の息子の惣一と3人で暮らしているが、健斗は借金を作り、彼らを置いて家を出て行ってしまった。
読み終えて
時間軸が過去に遡っている形で書かれているので、いつものようにぼんやり読んでると戸惑うことになります。
1つ1つのエピソードをしっかり頭に入れて読みました。
1のエピソードで描かれた枇杷の木の秘密。
2では、なぜ「おんなのおはか」と書かれた部屋があるのか。
3の2人の先輩、蝶子はなぜ家を留守にすることになったのか。
読んでいくうちに明らかになっていきます。
ずっと隣に住んでいる信子の存在も、いい感じで緩衝材的な役目を果たしているような気がします。
エピローグでは、5番目の話と最初の話がきちんとつながって、自然に笑顔が浮かんできました。
信子さんのその後も描かれていてよかったです。
一見不幸に見える、自分を「不幸」と思っている人たちの話のようだけど、実はみんな不幸ではないんです。
それぞれに、自分の心の中のわだかまりを溶かして前を向いて歩いていく、そんなお話でした。
悩みなんて、見方を変えればしあわせに変わる。
心がほっこりする素敵な作品でした。
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今日も最後までお付き合いくださってありがとうございます ^_^
どうかステキな1日を!