『ラストナイト』 薬丸岳
この間図書館に行ったとき書架に薬丸さんの名前を見つけて「そういえばしばらく読んでないな」と思って借りてきた。
薬丸さんの作品はデビュー作の『天使のナイフ』以来、わりとたくさん読んでいる。
少年犯罪を扱った作品が多いという印象を持っているので、今回もそう思って借りたのだけど、大人の話だった。
物語の展開
顔面に豹柄の刺青を入れ、左手は義手という特異な容貌で犯罪を繰り返す片桐達夫、59歳。
何回目かの刑期を終えた片桐が居酒屋「菊屋」に現れる。
菊屋の店主は片桐の35年来の友人で、片桐が最初の罪を犯したのは彼の店だった。
因縁をつけてきた暴力団員から店と妻を守るため、相手を傷つけてしまったのだ。
しかし、それ以来片桐は徳島、福岡など方々で犯罪を繰り返し、菊屋の店主も忸怩たる思いを抱えていた。
なぜ彼はそれほど罪を繰り返すのか。
出所しても、顔中に刺青が入っていて体にも不自由を抱えているので仕事も決まらず、居場所もない。
そのため刑務所にいることを望んでいるのかと思いながら読み進んだのだけど、そういうわけではなく、彼なりのとても深い思いがあったのだった。
読み終えて
Amazon では 涙腺崩壊必至! 心奪われる、入魂のミステリ と紹介されているけど、涙は出なかったなー。
「あぁ、そういうことだったのか…」とわりと淡々とした気持ちで読み終えた。
思い出してみると、薬丸さんの作品は復讐劇みたいなのが多いような気がする。
なーんて言っても、具体的には思い出せないけど…。
少年犯罪の被害者の親が、加害者の情報を全く得られなかったり罪に問われなかったりするため、復讐っぽい行動にでるとか、そんな作品が多い印象だ。
そういう作品が特にわたしの印象に残ってるのかもしれない。
わたし自身は、そこまで他人を憎むような出来事に陥ったことがないからか、性格的にそこまで憎み続ける根性がないからか、気持ちはわからないでもないけど共感はできない。
憎み続けるのは自分もしんどいと思うのよねぃ。
そういうしんどい暮らしを続けるのは耐えられないわー。
と、今思うのは、やはりそこまでの体験をしたことがないからかもしれないね。
余談だけど、薬丸さんの作品で1番強烈に印象に残っているのが『虚夢』だ。
息子を殺された両親の話。加害者は心神喪失で刑法第39条に守られている。
途中から「もしかして…」という気持ちで読み進んだけど、結末は「やっぱり…」で、衝撃的だった。
もし興味がおありでしたら是非。
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