
『数学の女王』 伏尾美紀
以前『北緯43度のコールドケース』を読んだ時に、シリーズ化されるならまた読みたいと言ったけど、その時点で既に2作目が出版されていたようだ。

物語の展開
新設されたばかりの大学で爆発事件が起こる。
学長宛の荷物を運んだ秘書と、通りがかった職員が巻き込まれ死亡する。
テロかそれとも学長を狙った犯行か。
前回の事件により警務部に異動になっている沢村依理子は急遽捜査一課に出向になり班長として事件を仕切ることになる。
公安との駆け引きもあり、捜査はなかなか進まない。
そんな中、新大学院大学の学長選出の経緯に興味深い事実が発覚する。
学長に就任したのは桐生真だが、直前まで現副学長の三島でほぼ決まっていたというのだ。
怨恨か…?
新参者の沢村が班の捜査員の信頼を得て捜査を進めていけるのか。
彼女自身の過去も絡めながら物語は進む。
読み終えて
前作よりは沢村の個人的な話が少なくなって読みやすかったような気がする。
ネタバレになるのであまり多くは語らないほうがいいかなと思うけど。
わたしが中学生ぐらいの時には教師にも明らかにジェンダーバイアスはあった。
幸いにもわたしの親は「男だから、女だから」ということを言ったことはなく、女性でも自分の仕事を持って1人でも生活できるようにという考えだったけど。
わたし自身も「女らしく」なんていう言葉とは無縁で、どっちかというとフラットなほうだと思っている。
それでも、この物語を読んで「わたしもやっぱりジェンダーバイアスに捉われてるわ〜」と認識させられた。
犯罪者に共感できるわけはないのだけど、状況によっては「気持ちはわかる」ということもある。
が、この物語の犯人の気持ちはさっぱりわからない。
いや、1ミリぐらいはわかる部分もあるかもだけど、不遇な扱いを受けたのだろうけど、そこまで執着する?
もしかしたら、そう思うこと自体がジェンダーバイアスなのかもね。
次もまた読むと思う。
沢村さんの成長にも期待したい。

