【シニアの本棚】『椿ノ恋文』|幸せは日々もがく泥の中にあるのかもしれない
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【シニアの本棚】『椿ノ恋文』|幸せは日々もがく泥の中にあるのかもしれない

4.0
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ツバキ文具店シリーズ3作目。

前作『キラキラ共和国』で結婚した鳩子。
立て続けに生まれた2人の子どもたちも小学校に入学し、代書屋を再開することになった。
鳩子のもとには、またいろいろな人から代書の依頼が来る。

  • 紫陽花
    義母が届けてくれる料理の中に時々髪の毛が入っていることを義母を傷つけることなく知らせてほしい。
  • 金木犀
    癌を患い死期が近い女性から、結婚する娘へ気持ちを伝えたい
    知的なヤクザ風の男性から、ペットフードの購入者にお礼の言葉を伝えたい
    若年性認知症の女性から、記憶を失っていく自分へ、自分のことを書いた手紙を定期的に送ってほしい
  • 椿
    五十代前半の女性から、84歳の父に運転免許を返納するように、施設に入院中の母からの手紙という形で諭してほしい
  • 明日葉
    先代の恋人の甥から、自分が同性愛者であることを両親にカミングアウトしたい

  • 気難しい隣の住人へ鳩子が子どもたちに内緒でお詫びの手紙を代書する

等々。
これからも私は、希望の種をこの世界にまき続けたい(p.338)と、鳩子。

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それぞれの依頼者の背景が丁寧に描かれていて心に染みるものがあった。

また、鳩子自身も夫の連れ子QPちゃんが鳩子と口をきかず険悪になってしまったり、先代に恋人がいたこと、しかも不倫だったことが発覚したりして、代書の仕事以外にも盛りだくさんな出来事に振り回されている。

個人的には不倫を美化するのは嫌なので、鳩子たちの思いに少し違和感はあったけれども。

伊豆大島の風景描写が美しく、島の様子がリアルに伝わってくるようだった。

最後はバーバラ夫人が一時帰国して、お隣さんとも打ち解けて大団円だ。

バーバラ夫人のこの言葉に力づけられる。

実は前作『キラキラ共和国』が自分としてはちょっと期待外れだったので、3作目を読むのを躊躇していたのだけど、とても良い作品だった。
次もあるのかな。

2025年6月末 タカハラの本棚

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今日も最後までお付き合いくださってありがとうございます ^_^
どうかステキな1日を! 

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