【シニアの本棚】『コメンテーター』:17年ぶりの伊良部シリーズ
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【シニアの本棚】『コメンテーター』:17年ぶりの伊良部シリーズ

4.0
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シリーズ17年ぶりと言いつつ、シリーズものだったとはまったく知りませんでした。
表紙がなんとなく既視感あるなとは思ったものの…。

前作の『町長選挙』と前々作『空中ブランコ』は読んだことは覚えてますが、内容はまったく覚えてないので、それと同じシリーズとは思いもしませんでした。

物語の展開

破天荒な精神科医伊良部一郎とその患者たちを描いた5篇から成る短編集。

  • コメンテーター
    コロナ騒動を扱うテレビのワイドショーにコメンテーターとして出演を依頼される伊良部。
    トンデモなコメントを繰り返し、スタジオは青ざめるが、視聴率はドンドン上がる。
    視聴率に一喜一憂し、視聴率至上主義の番組プロデューサー宮下は「コロナの口実があるうちに、掘って、掘って、掘り尽くせ!」と言うのだが…。
  • ラジオ体操第2
    世間のそこここにいる規則を守らない人々に激しい怒りを覚えるが、口には出せない福本。
    怒りが自分の中で爆発して過呼吸を起こして気を失うほどだ。
    そんな福本がついに会社と提携している総合病院の神経科を訪れる。
  • うっかり億万長者
    大学を卒業して大手保険会社に就職した保彦だが、人との交渉が苦手で会社に馴染めず2年で退職する。
    その後は日中ほとんど外へ出ず、誰とも喋らずPC画面を見つめてデイトレードをやっていて、保有資産は10億を下らない。
    彼はふとしたことから伊良部総合病院へ連れて行かれる。
  • ピアノ・レッスン
    ピアニストの友香は、閉鎖された空間に長時間いると緊張してパニック症状を起こすようになった。
    これは心の病に違いないと、紹介された神経科を訪ねる。
  • パレード
    山形県出身で都内の有名大学に通う裕也だが、コロナの影響で授業はすべてリモート、誰とも喋らない生活が続き人と口を利くのが怖くなってしまった。
    これではいけないと思った裕也は思い切って神経科に行くことにした。

彼らは、伊良部の独特の治療法によりだんだん自分を取り戻していく。

去年のデンドロビウム 今年も蕾をたくさんつけて待機してる

読み終えて

おもしろかったです。
個人的に一番ウケたのは2つ目の「ラジオ体操第2」。
久々に大笑いさせてもらいました。

ルールを守らない人に腹を立てる福本さんの気持ちはわからないではないですが、わたしはパニックになるほどの怒りは湧いてこないですねぃ。

伊良部先生、訳のわからない医師で、治療法も「本当に治療なのか?」と思うようなやり方ですが、患者の気持ちが楽になって救われていく様子が微笑ましくもあり、気持ちよく読み終えられました。

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今日も最後までお付き合いくださってありがとうございます ^_^
どうぞ、よい1日を!

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