『マンモスの抜け殻』 相場 英雄
物語の展開
都心の限界集落と言われているかつてのマンモス団地。
現在は住民の高齢化が進み、独居老人の孤独死なども多発している。
その団地で、介護施設の経営者が殺害される。
事件の担当となった刑事、勝也は40年前この団地に住んでいた。
最後に被害者と面談していた投資家の環と、被害者が経営する施設で働いている尚人は幼なじみだ。
殺害された施設長の藤原は勝也たちが子どもの頃から、貧しい人の多かったこの団地で高金利で金貸しをしていた。
その藤原がなぜ介護事業に携わっているのか。
40年前、貧しい暮らしの中で空腹だった環と尚人は、勝也の目の前で藤原についていった。
彼らに何があったのか。
藤原を殺害したのは誰か。
読み終えて
65歳以上の高齢者が人口の約3割を占めるという我が国。
もちろん、わたし自身もその中に入ってるわけで、介護事業の実態を生々しく興味深く読んだ。
実際、介護施設から一斉に多数の職員が退職したとか、施設が閉鎖に追い込まれたとかいうニュースを耳にするので、この先どうなっていくのだろうという思いはもっている。
以前長男が
この国は将来介護士も介護施設もなくなり、排泄物を垂れ流して歩く老人で溢れかえるようになるぞ
と言っていたけど、「そんなアホな」と笑い飛ばすこともできないかもと思ってしまったわ。
この間の選挙でとある政党が「若者支援」「手取りを増やす」と、社会保険料のことに言及して、ついでに「尊厳死も」などと口にしたものだからボカスカやられていたけど、一概に叩き潰していいとはわたしは思わない。
以前見た映画「PLAN75」のような時代も来るかもしれない。
後期高齢者の薬代も治療費も、延命措置も、若者の保険料にかかっていると考えると複雑な気もちになるよねぃ。
介護施設の施設長を殺害した犯人を追っていく物語だけど、介護の現状と将来について、高齢者としては考えさせられるものがあったわ。
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今日も最後までお付き合いくださってありがとうございます ^_^
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