『水車小屋のネネ』 津村 記久子
物語の展開
高校を卒業して服飾関係の短大へ行くつもりだった理佐だが、母親が入学金を男のために使ってしまった。
家を出たいと思った理佐は毎日職安に通って求人を探し、ある仕事を紹介してもらった。
面接の日、10歳下の妹で母親の恋人に怒鳴られたり叩かれてりしている律が「ついて行きたい」と言うので一緒に連れて行くことになった。
採用が決まった理佐は、親から蔑ろにされている律が心配になり「一緒に来る?」と聞くと、「まあいいんじゃない」と言って、理佐が保護者になり家を出て2人で暮らすことになった。
理佐は蕎麦屋の接客と、蕎麦粉を挽く水車小屋の管理と、そこにいるヨウムの世話を任された。
律はきちんと小学校に通っており、ヨウムもことのほか律に懐いている。
途中、2人の母親やその再婚相手が訪ねてきて連れ戻そうとするけれども、蕎麦屋の夫婦や小学校の先生、近所の人々に助けられ守られて成長していく姉妹の40年間の生活が描かれている。
読み終えて
とんでもない親がいるものだ。
離婚して以来女手一つで子供たちを育てた母親が「自分で決めるのがもう嫌になったの」と言った時、理佐は何の反論も思いつかなかった。
母親の「自分で決めるのが嫌になった」という言葉は理解できないわけではない。
だけど、母親である責任を放棄するのは許せない。
この作品はそんな親と決別して2人で生きていく姉妹の物語だ。
悪い人は誰も出てこない。
おばちゃんは、ちょっとしたアクシデントが起きた時、つい取り越し苦労して「どうなるんだろ、何か大変なことが起こるんだろうか」なんて思いながら読んでしまうけど、大きな事件は起こらない。
いきなり小さな妹を連れて現れた理佐を特異な目で見る人もいたようだけど、結局みんなが味方して助けてくれる。
40年間の物語なので、関わってくる人物も多いけど、ヨウムのネネを含めてみんなが優しくつながっていて温かい気持ちになる。
自分が元から持っているものはたぶん何もなくて、そうやって出会った人が分けてくれたいい部分で自分はたぶん生きてるって。
p.438
これは研司の言葉だけど、理佐も律も、聡も研司も、みんなそんなふうに生きてるという感じがした。
たしかに「希望と再生の物語」だ。
正直言うと、すごく感動したというほどではないのよねぃ。
巷では大絶賛のようだけど、わたしは星4つまではいかなかったなー。
ってことで3.5。
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今日も最後までお付き合いくださってありがとうございます ^_^
どうかステキな1日を!