【シニアの本棚】『宙わたる教室』:ベタな学園ものには泣かされる
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【シニアの本棚】『宙わたる教室』:ベタな学園ものには泣かされる

4.0
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先日見たテレビ番組「あの本読みました?」の理系の作家特集に出演されていた伊与原新さん。
『八月の銀の雪』は読んだはずだけど、例によって覚えないわー。

テレビを見て「そうか、理系の作家さんだったのか…」と。
「理系」と聞くと自分とは対極な気がするので、つい憧れの目で見てしまう。

都立高校の定時制に通う生徒たちの物語だ。

  • 高校を中退して働きながら通っているが、なかなか悪い仲間から抜け出せずにいる21歳の柳田
  • フィリピン料理店を夫と切り盛りしており、クラスで「ママ」と呼ばれているジャスミン
  • 入学して1ヶ月目に過呼吸を起こして以来、保健室登校をしている佳純。SF小説が好きで火星に興味を持っている
  • 中学を出てすぐに集団就職をし、今は町工場を経営している長嶺は最年長の76歳だ

彼らの担任の藤枝は、定時制高校に科学部を作り、どんなことが起きるか、何が生み出されるかを観察するという企てをもって赴任してきた。

そしてもう1人、全日制の生徒でプログラミングの勉強をしている丹羽。
定時制の生徒を馬鹿にしていたが、あることがきっかけで彼らの実験を手伝うことになる。

年齢も生活環境も学校に通う目的も異なる彼らは、対立しながらも「日本地球惑星科学連合大会」出場を目指して実験を重ねていく。

ぶつかったり協力したりしてたどり着いた先に見えたものは…?
彼らが抱えていたいろいろな問題を克服して得たものは…?

まだまだ元気なアメリカンブルー

一言で言うと、ベタな青春小説。
だけど、おばちゃんはベタな学園ものに弱いのよ。

どうにもならない環境やいろんな思いを抱えている若者が、仲間とともにもがきながらも自分を見出していく姿に弱い。
立ち上がって前を向いて歩き出す姿に弱い。

実験についてはさっぱりわからなかったけど、みんなとっても一生懸命取り組んでいるのは伝わってきた。

装置のイラストでもあったら、もう少し具体的にイメージできたのかなーと思うけど。

自分の将来を、一本道のように見通せる人はいません。誰しも、いるのはいつも窓のない部屋で、目の前には扉がいくつもある。とにかくそれを一つ選んで開けてみると、またそこは小さな部屋で、扉が並んでいる。人生はその連続でしかない。 (p.277)

と藤竹は言う。
そして、こう続ける。

正解の扉などというのは、たぶんありません。入った部屋で偶然に誰かと出会い、あれこれ手を動かしてみて、次の扉をえいやと選ぶだけです。 (p.277)

次の扉をえいやと選んでも、そこに何があるかはわからない。
人生とはそういうものだよねぃ。

読み終えて笑顔になる、みんなに拍手を送りたくなる、そんな気持ちのいい小説だった。

10月からドラマもスタートするのよね。
実験も見られるかな。
楽しみだ。

♫〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今日も最後までお付き合いくださってありがとうございます ^_^
どうぞ、ステキな1日を! 

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