『老人ホテル』 原田 ひ香
物語の展開
主人公、日村天使はある日以前働いていたキャバクラのビルのオーナーだった綾小路光子の姿を見つけ、彼女がそこそこお金のあるお年寄りが長期滞在している「老人ホテル」と呼ばれているホテルで暮らしていることを突き止める。
お金持ちになりたい天使は、光子に近づきたくてそのホテルの清掃員として働くことになるのだが、気難しい光子は山田という清掃員だけしか部屋に入れなかった。
山田に代わって光子に取り入ろうと考えていた天使、社会人としての常識もなく人付き合いも苦手な天使が、おおらかな山田の助手をすることで少しずつ気持ちが柔らかくなっていく。
そんな時、別の居住者が天使の話を聞かせてほしいと言い出す。
天使は7人きょうだいの末っ子で、小さい頃家族の生活をテレビで放送されており、その番組を覚えていた元フリーライターだ。
天使にとっては思い出したくないことだったが、謝礼を出すという彼女の申し出を受け入れ、当時の記憶を辿りながらその頃の自分と向き合うことになる。
天使の両親はあの手この手で生活保護の不正受給を続けていて、子供たちにも理不尽なことを強いていたのだ。
その状況を知った光子も天使を部屋に入れ、天使を最低な母親と決別させ1人で生きていく方法を指南する。
しかし、ほどなく光子が亡くなってしまう。
読み終えて
なんか、すごい家族がいるんだな〜というのが第一印象でした。
天使(えんじぇる)という名前にもびっくりだけど、大天使(みかえる)とか羅天使(らふぁえる)とか、子供たちの名前に驚き。
天使の両親が名付けたというより作者が名付けたんだけど…。
天使のことより彼女の家族の所業のほうがインパクト強くて唖然としてしまいました。
光子が天使にお金持ちになる方法を伝授するところは、「わたしもこんなふうに事細かく指導してくれる人がいたら、人生変わってたかも〜」なんて思ってしまいました。
そのくらいのお金が作れる、貯めること、なんらかの我慢ができて才覚がある人間じゃなきゃ、そのあと、何を教えても無駄なんだよ
p.188
ただただひたすら耳が痛かったです。
不動産投資で財をなした光子も家族には恵まれませんでした。
彼女の子供たちは「お金があるのに貧乏させられた」と恨んでいたそうです。
難しいものです。
さて、光子は亡くなってしまいましたが、彼女が持っていたお金。
なんと、天使ちゃん…。
この親にしてこの子あり…、なの?
そんなの残念すぎる。
その後彼女がどうなったのか気になります。
おばちゃんはほんの一縷の希望を捨てられません。
どうか正しく生きて。
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今日も最後までお付き合いくださってありがとうございます ^_^
どうぞ、ステキな1日を!