『風に立つ』 柚月 裕子
物語の展開
南部鉄器の製造工房を営んでいる孝雄と息子の悟。
ある日突然、家庭裁判所から補導委託を受けることになる。
何も知らされていなかった悟は、自分の子供にさえほとんど関わってこなかった孝雄がなぜ問題を起こした少年、春斗を引き受けることにしたのかと不審に思い、春斗には一切関わらないと決める。
春斗は口数も少なく、工房で教えられた仕事を真面目にこなしているが、時々不可解な行動をすることがあり、関わらないと決めた悟も次第に気になり始める。
毎週土曜日の夜には荷物を送りにコンビニへ行く。
しばらくして春斗の感情が爆発し、工具で工房の鋳型を粉々に叩き割った。
春斗の心の奥に何があるのか…。
孝雄は怒りもせず優しく春斗を受け入れ、見守っている。
昔なら絶対に怒鳴っていたはずなのに、悟はそんな孝雄の変化に戸惑う。
このまま無事に補導委託を終えられるのか。
春斗は立ち直れるのか。
一方、悟は父親の孝雄に対して「自分の子供と関わることもなく、可愛がってもらった覚えもない」と、いい感情は持っていなかった。
補導委託を受け入れたことによって、当事者だけではなく周りの人々を巻き込みながら、春斗と彼の両親、悟と父親の孝雄、2組の親子の関係が変化していく様子が描かれていく。
読み終えて
柚木裕子さんは気になる作家さんで、デビュー作『臨床真理』以来だいたい読んでる。
文章自体は興味深く「やっぱり柚木さん、いいわ」と思いながら、どんどん読み進んでいったのだけど、今作は思ってたのとは違った。
申し訳ないけど、ありきたり…。
3人の、しかもちょっと一筋縄ではいかない子育てを経験してきた身としては、はっきり言ってこれくらいでは感動できないなーというカンジ。
春斗を預かる工房の人たちがみんないい人でよかった。
春斗くんが自分の進む道を見つけてよかった。
悟が父親のことを少しは受け入れられるようになってよかった。
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今日も最後までお付き合いくださってありがとうございます ^_^
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