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『月収』 原田 ひ香
原田ひ香さんのお金に関する小説は興味深い。
月収4万円から300万円までのいろいろな女性の人生が描かれている。
物語の展開
- 月収4万の年金生活者 乙部響子
夫と離婚した際に得たお金で家は買ったものの、収入は年金の4万円のみ。
仕事を探してもできそうな仕事はない。
そんな時、ある若者がいきなり訪ねてきて、響子の家の庭でミントを作らせてくれないかと言う。
毎日若者がそのミントを摘みにきて、1,000円を手渡すと。
響子はその申し出を受け入れるのだが…。 - 月収8万の小説家 大島成美
28歳の時に純文学系の新人賞を獲った成美。
派遣仕事をしながら小説家を目指しているが、その後は泣かず飛ばず。
小説のテーマの参考にと不動産会社で話を聞くうちに不動産投資にハマり、本来の目標を見失いそうになる。 - 月収10万を作る女性会社員 滝沢明海
一流自動車メーカーの子会社の主任になった明海、母親の干渉にうんざりしているが結婚する気はない。
将来のことを考えると、嫌でも母親の面倒は見ないといけないだろう。どうしたって先立つものはお金だ。
それから14年、あらゆることを節約し、我慢して投資信託につぎ込んだ結果…。

- 月収100万のパパ活女子 瑠璃華
成績優秀で有名大学に入学したものの、親は学費だけしか出せないと言う。
生活していくためにデートクラブのアルバイトを始めたが、今はそれを生業にしている。
ある日、中年の女性から「パパ活をしている人の話が聞きたい」という依頼が来る。
レストランの個室で、ただ聞かれたことに答えるだけで既定の料金を払ってくれるという。
相手の女性が聞き上手で瑠璃華は次第に心を許し、彼女と会うのが楽しみになっていくのだが…。 - 月収300万の元会社経営者 鈴木菊子
服飾小物を扱う会社の経営者だったが、不倫の末結婚した夫が亡くなり、相続したビルの家賃収入が月に200万ほど。
そのほかの金融資産も合わせると、月300万ほどの不労所得がある。
夫の死後すっかり憔悴していた菊子だが、養護施設出身の子たちを援助するためのシェアハウスに協力する。
「自分のためだけに生きるには、一生は長すぎる」と。
この物語全体を通していろんな人に影響を与える人物でもある。 - 月収17万の介護士 斉藤静枝
訪問介護をしているうちに高齢者の家に物が溢れていることに着目し、収入を増やすために生前整理を専門の仕事にしたらどうかと思い始めた。
そんな時、友人に誘われて参加した「女性の起業を助ける会」のパーティで、以前シェアハウスに出入りしていた時に知り合った鈴木菊子と出会い、起業のためのアドバイスを受ける。
そして銀行からの融資を受けるめどもついた。
「自分も豊かになりたいし、人のことも豊かにしたい」と希望に胸を膨らませる静枝。
読み終えて
それぞれの女性の生き方、暮らしぶりに「なるほどなー」という思いで読んだ。
共感できる人はいないけど、やはり66歳の乙部響子の話はちょっと身近に感じたわ。
何も植えていない庭にミントを植えて、時々水やりをするだけで月に3万円ほどもらえるなら…と思う気持ちもわからないではないけど、気味の悪い話だ。
そして後から税金だの健康保険料だのに気づくというのも「あるある」的なことだ。
ここに登場する女性たちは、みんな月収を増やしたいと思って方法を模索している。
方法は様々だけどそれに向かって努力している。
月収がいくらあったら幸せということではなく、お金のことを真剣に考えて、そのためにいろんなことを我慢してるのがすごいなと。
「ぼんやり生きてきたわたしとは違うわー」と、傍観者的立場で読み終えたよ。
全体に登場人物がリンクしているので、読んだ瞬間に忘れてしまうわたしは「あれ、この人さっき出てきた人よね」と、何度かページを戻って確認しながら読むハメに。
やはりノートにメモしながら読むべきだと再認識したよ。
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今日も最後までお付き合いくださってありがとうございます ^_^
どうかステキな1日を!