【読書】『ペッパーズ・ゴースト』伊坂幸太郎:根底に流れるニーチェの思想

3.5

久しぶりの伊坂さん、意外にも最初の方は少し足踏みしてしまってなかなか進まなかったけど、生徒が書いた小説の登場人物が実際に現れた頃からスピードアップした。

今回も時々過去作を思い起こさせるようなフレーズがあって、ニヤリとする場面もあった。

主な登場人物

  • 中学教師 壇:人の飛沫に感染すると、その人の視点で未来が見える「先行上映」という特殊能力を持っている
  • 布藤鞠子:壇の生徒で自作小説を書いている
  • ロシアンブルとアメショー:鞠子の小説に登場する猫を虐待した人々に罰を与える任務を担ったネコジゴハンター
  • 被害者遺族サークルのメンバー:とある立てこもり事件の被害者遺族たち

物語の展開

過去の受け持ち生徒のことでトラウマを抱えている壇は、今の担任の生徒の様子を注意深く見て力になりたいと思っており、生徒の布藤鞠子が書く「ネコジゴハンター」の小説も熱心に読んでいる。

そんな壇が気になる生徒の父親と関わったことで「先行上映」を観、事件に巻き込まれていく。

初めのうちは鞠子の書く小説と、壇先生の行動が別のものとして描かれていたのだけど、そのうち小説の登場人物が実際に現れ、現実のこととなっていく。

ネコジゴハンターが追っている人物は立てこもり事件の被害者遺族サークルの1人であり、メンバーは自爆テロを起こすことを計画している。

彼らはニーチェの「この世界は、全てのもの(大いなるものも卑小なものも)が、まったく同じように永遠にくり返される」という永遠回帰の思想にとらわれていて、自分たちの身に起こったことに対して「こんなことが永遠にくり返されてたまるか」という思いから自爆することを選んだ。

テロを「先行上映」で観てしまった壇先生は、それを阻止しようとしてネコジゴハンターたちと行動を共にすることになるのだが…。

読み終えて

ちょっとわたしには難解だったなー。
通奏低音的に「ツァラトゥストラ」が流れていて、それがイマイチ理解できなかったのよねぃ。
ニーチェを読んでいればもうちょっと感じ方が違ったのかもしれないけど。

被害者遺族のサークルの人たちの考え方も「どうしてそうなるのかなぁ?」という感じだし。

ただ、ネコジゴハンターの2人の会話や、サークルのメンバーの会話には頷けるところもたくさんあった。

法律はもちろん、法律に定められていない道徳やマナー、常識、そういったものを生真面目に守る人間が、割りを食っていいのだろうか。

p.342

 

そういう世の中の理不尽が永遠にくり返されることに絶望して、彼らは自爆テロという手段を選択したのだろう。

しかし、

「成海さんも、ニーチェの文章を引用していましたよね。『人生で魂が震えるほどの幸福があったなら、それだけで、そのために永遠の人生が必要だったんだと感じることができる』と」それもメモに保存してあった。 

p.377

ニーチェもこのように言っている(らしい)。
そこに目を向けたらよかったのになーと、おばちゃんは思う。

どうなんだろう。
今までの伊坂さんの作品と比べると、ちょっと盛り込み過ぎだったのではないかという気がしないでもない。
と言っても全部覚えているわけではないので大きなことは言えないが。

過去に読んだ作品は、もっとスカッと全部を回収して終わってたような気がするんだけど、ちょっと物足りなさが残ったかな。

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